トレーラーハウスが置けない場所って?

トレーラーハウスの導入を考える上で、考える必要があるのは「どこに置くか」です。当たり前の話ですが、置く場所を確保しなければトレーラーハウスは利用出来ません。全く何もない平坦な土地を保有している場合もあれば、今から土地の購入や賃貸を検討しようとしている方もいらっしゃると思います。このコラムではトレーラーハウスを置くための場所に関して、土地の形状や周辺環境など注意すべき点についてご紹介します。

1.土地の地面形状

・設置出来ない地面とは

購入されるトレーラーハウスは、各メーカーのスペック表や図面などで大きさの感覚は分かると思います。当然、土地の面積よりも大きな物は置けませんから、適度な大きさのトレーラーハウスを選択する事となります。ただ、見過ごされがちなのは土地の地面形状です。

まず大前提として、地面が「土」という土地には設置出来ません。トレーラーハウスは車両総重量が最大で3.5tとなる、非常に重量のある商品です。加えて大型ヘッドけん引車は約7t重量ですので、搬入時には相当の加重が土地に掛かります。結果、タイヤがスタックしたり土地面に亀裂が入るなど悪影響が発生します。

仮に設置が出来たとしても、土面は柔らかいので重量のあるトレーラーハウスではレベル(水平)保持が難しく、時間の経過と共に傾いてしまう恐れがあります。近年、台風や大雨の被害も増えていますので、柔らかい土面の表面が変化する事もあるでしょう。このような、利用していく上で起きるトラブルは避けたいですよね。

基本的には、この後記載する「おすすめの地面」の場所を選ぶ事が望ましいのですが、万一土面しか選択肢がないという事であれば、鉄板や重量に耐えうる養生(プラスチック敷板)などで補強して設置するというやり方もあります。鉄板などで地面補強する際にトレーラーハウスと鉄板をターンバックルとチェーンで固定していけば、簡易耐風対策にも役立ちます。 鉄板などでの地面補強は。商業施設や店舗など外観がある程度重要な用途であれば余りおすすめしませんが、外観を気にしない自家用利用であれば、十分検討に値すると思います。

・おすすめの地面

ではどのような地面がおすすめでしょうか。下記の地面であれば、トレーラーハウスの設置は簡単です。

・砂利(転圧されたもの)
・アスファルト
・コンクリート等

砂利に関しては、必ず転圧を行ない加重に耐えられる状態にしてください。転圧する事で、アスファルトやコンクリートと同様な安定した地面となります。ただ、砂利面は水はけが悪く湿気がこもりやすいので、その結果シャーシ(車台)の下回り部分が錆びやすくなるというデメリットもあります。

・段差、こう配

地面の形状以外に設置場所の敷地で注意が必要なのは「段差、こう配」です。多少の段差なら良いのですが、余りに大きな段差がある土地では、タイヤが浮いてしまったりレベル(水平)を保持するのが非常に困難です。

同様に、こう配についても注意が必要です。一般的に多くの敷地は多少の傾斜が発生していますので、トレーラーハウスを設置後に傾斜を吸収する形でレベル(水平)を合わせます。ただ、余りにこう配が強い敷地ですと、トレーラーハウス自体も傾斜が強くなりバランスが悪くなってしまいます。バランスが悪いだけでなく、最悪の場合転倒する事も考えられますので、そうした敷地に設置する事は高リスクという事になります。

2.敷地への進入経路

トレーラーハウスを敷地へ搬入する際に、道路から敷地への進入経路も重要です。敷地自体は広いが、搬入する為の間口が極端に狭かったり湾曲していると、けん引して進入する事が出来ません。前面道路に電柱やガードレールが迫っていたり、敷地入口に塀や樹木があるなど、進入の妨げとなるケースも少なくありません。

当社ですと、年間で何百回と搬入に立ち合ってきた経験がありますので、進入経路に応じたアプローチ方法を熟知しています。経路によってはトレーラーハウスをバックで進入させ、敷地の中で転回して所定の場所へ設置するというテクニックもあります。

3.搬入時の輸送経路

・道路通行許可証

トレーラーハウスを購入して設置する場合、車検を取得しナンバープレートが取り付けられた後、最寄りの陸運事務局から敷地まで輸送されます。この時の輸送経路についても注意が必要です。トレーラーハウスを輸送する為のけん引車が大型車両の場合、輸送経路内に「大型貨物自動車等通行止」の通行規制があった場合、その影響を受けてしまいます。

こうした経路をやむを得ず通行する際には、事前に道路を管轄する警察署への届け出を行います。届け出る事で「通行禁止道路通行許可証」と「通行禁止道路通行許可車」の許可証が交付されます。具体的には「〇月△日のXX時~XX時まで通行を許可する」という内容です。この許可証を携帯して該当道路を通行します。

・道路の交通状況

また、前面道路の交通状況にも注意が必要です。交通量の多い道路沿いの敷地であれば、交通量が少ない時間帯での搬入が必要ですし、通学路や人通りの多い道路であれば深夜や早朝での搬入が安全です。輸送業者によっては自分達の都合を優先して、混雑した道路状況でも輸送、搬入してしまうケースがあるようです。重大事故にもつながりかねない危険な行為ですので、少しでも心配があれば事前に輸送業者へしっかりと確認しておきましょう。

4.当社の場合(事前調査)

・事前調査の主な流れ

参考までに、当社にて日頃行なっている事前調査についてご紹介します。まずはお客様から購入の相談があった場合、設置予定場所の土地住所をお尋ねします(所有地または確保予定地)。Googleマップなど地図画像にて、トレーラーハウスが搬入可能かどうかを確認します。場合によっては設置予定場所まで訪問し、間口の幅や敷地内のこう配を確認する事もあります。

この時点である程度シミュレーション出来ますので、搬入可/不可が判断できます。場合によっては、小さいサイズのトレーラーハウスしか入らない、一部敷地内の物を移動させないといけない、という条件付きでの搬入となる場合もあります。

・詳細調査

どうしてもシミュレーション出来ない場合には、お客様にその旨をお伝えし詳細調査をご提案します。許可を頂ければ日本けん引輸送へ依頼し、実際の輸送ドライバー立ち合いの元で実地調査を行ない(有償作業)判断します。経験豊富なドライバーの視点から、理想的で安全な搬入経路を導き出します。こうしたきめ細かい調査で、トレーラーハウスの納品までをサポートしています。

5.まとめ

いかがでしたか。地面の状態や敷地全体のレイアウト、更にはそこに至る道路状況までとトレーラーハウスを納品するまでに様々な懸念点を解決する事が必要です。特に、当社は事業用トレーラーハウスを専門にしたメーカーですので、利用されるお客様も市街化調整区域から都市部までと幅広い地域です。

土地の状況は千差万別です。「絶対にOK」「絶対にNG」という土地は少なく、「入るかどうか分からない」という敷地の方が多いです。私達は、出来る限りご希望の土地で設置出来るよう丁寧に調査を行ない、プロの技術でトレーラーハウスを納品し続けています。お困りな点があれば、お気軽にお問い合わせください。

原案:中村
執筆:齋藤
校正:藤澤