トレーラーハウスを利用した飲食店舗

カフェやレストラン、あるいはラーメン店、テイクアウト店舗などをトレーラーハウスで出店したいとお考えの方もいらっしゃると思います。
建物での飲食店舗と違い、トレーラーハウスの店舗は物珍しさやオシャレ感で人気店舗となるかもしれません。
そこで今回は、トレーラーハウスの飲食店舗を開業する際に知っておきたいことをご紹介していきます。

飲食業の営業許可の種類

東京都中野 ビアガーデン店舗としてのトレーラーハウスの例

飲食店を開業するには飲食業の営業許可を取得しなければなりません。
無許可で飲食店を営業すると、食品衛生法や営業形態によっては風俗営業法違反となり刑事罰の対象となってしますので注意してください。
営業許可には業務形態や提供する料理の内容によって申請内容が異なります。

「飲食店営業」 
一般食堂、料理店、レストラン、カフェ、すし屋、そば屋、バーなど食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業のこと。

「喫茶店営業」
喫茶店、サロンなど設備を設けて酒類以外の飲物又は調理を伴わない茶菓を客に飲食させる営業のこと。

東京都大手町 ビアガーデン店舗としてのトレーラーハウスの例

喫茶店営業許可は店内で調理した料理を提供することができず、すでに製造(調理)されたものをそのまま提供するだけになるので、提供できるメニューが限られることから喫茶店を開業する方もパスタ、ピラフなどの調理が必要な軽食を提供することができる「飲食店営業許可」を取得することが多いようです。また、深夜0時〜朝6時に酒類提供をメインに営業する場合は「飲食店営業許可」に加えて所轄警察署へ「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を提出する必要があります。

また、店舗の運営形態によっても建物等の固定された店舗で営業(一般営業施設での営業許可)するのか、キッチンカーなどの自動車などで移動営業(自動車での営業許可)するのかによっても申請内容が異なります。
トレーラーハウスで飲食店を開業する場合は、「一般営業施設での営業許可」と「自動車での営業許可」の両方が可能ですので、次にそれぞれの営業許可申請の流れも含めてご紹介します。

開業までの道のり

埼玉県飯能市 テイクアウト店舗としてのトレーラーハウスの例

トレーラーハウスで飲食店を営業する場合、自動車での営業(移動販売)の場合は、日々場所を変えて移動することが前提の営業形態のため、トレーラーハウスが建築物に該当するかどうかという問題はほとんど生じませんが、建物での飲食店舗と同様に一定の場所にある程度の期間、据え置いて営業する場合は、自治体の建築指導課等へ「建築物に該当しないトレーラーハウス」=「車両」の条件を事前に確認しておくことが必要です。
また、トレーラーハウスは車両であるが故に床面積や高さに制約があります。
客席数を増やしたいからといって複数台のトレーラーハウスを並べて連結して使用すると「随時かつ任意に移動できない」と建築指導課から判断され違反指導の対象となりかねませんのでご注意ください。広さに制約のある室内でいかに効率的なレイアウトを考えるかもポイントになります。

それでは、据え置き型で飲食店舗をトレーラーハウスで開業する際の流れをご紹介します。

据え置き型の場合は、電気、給排水等のライフラインは全て土地側のライフラインと接続することになります。

店舗用トレーラーハウスのガス接続の例

全国のほとんどの自治体では建築物に該当しない条件として、随時かつ任意に移動できる状態で設置し、電気・給排水等のライフライン接続も工具無しで着脱できなければなりません。また、適法に公道を移動できるトレーラーハウスであることが求められます。


当社が製造販売するトレーラーハウスは全て車検付きですので「適法に公道を移動できる」の条件を満たしています。
このような建築指導課等への事前確認を行わず、デザインや室内の広さに惹かれて車検が取得できない大型トレーラーハウスを購入し設置してしまうと、自治体によっては建築指導課から違反建築物として指摘され撤去を求められることもありますので、必ず事前確認を行ってください。
トレーラーハウスが建築物ではない「車両」であることを建築指導課で確認できたら、保健所へ飲食営業許可の申請手続きに移っていきます。
保健所ではトレーラーハウスによる据え置き型飲食店舗の実例を扱ったことがない所も多いため、保健所の担当者によっては自動車での移動営業と勘違いして話を進めることも考えられますので、あくまでも建物での飲食店舗と同様の「一般営業施設での営業許可」であることをしっかりと説明する必要があります。その際にも建築指導課との事前協議での見解を踏まえて説明することが大事です。

トレーラーハウスのラーメン店舗の厨房例

「一般営業施設での営業許可」での申請であることを保健所側が理解すれば、あとは建物での飲食店舗の営業許可申請と同様に「一般営業施設での営業許可」の許可申請手順に従って必要書類や必要な資格(食品衛生管理者等)、必要な厨房機器・衛生設備の図面・仕様書等を揃えて申請します。
必要書類等や細かな手順は管轄の保健所で確認してください。(ホームページで案内されているケースもあります。)
また、調理にはコンロ等の火器を使用することもあるため、保健所とのやり取りと並行して管轄する消防署とも内外装の防火処置、消火設備等について事前相談する必要があります。
消防法は「建築物」に対する法律のため、基本的には車両であるトレーラーハウスに適用されることはありませんが、不特定多数のお客様が利用する飲食店舗で火事を出すことは避けなければなりませんので、事前に相談しておくことが必要だと考えます。

イベントで飲み物を販売しているキッチンカーの例

次に、自動車での移動営業をトレーラーハウスで行う場合についてご紹介します。
移動営業は、食材の仕込みを別の場所の調理場等で行い、車内ではそれらの仕込まれた食材を調理し、営業許可されたエリア内で営業を行います。
そのため、保健所の審査においてはトレーラーハウスだけでなく、仕込み場所についても審査の対象となります。
また、据え置き型の営業形態と異なり、電気、給排水等のライフラインを土地側のライフラインと接続することはできず、電源はポータブル発電機、給水は車内に積載した上水タンクで供給し、排水も車内に積載した汚水タンクへ排水することになります。
それに加えて、日々場所を移動して営業することが前提であるため、トレーラーハウスをけん引する自動車をトレーラーハウスと連結または側に停めておくことが求められます。
保健所と事前協議する場合は「自動車での営業許可」であることを明確に説明し、保健所に必要書類や申請手順を確認してください。

まとめ

以上、トレーラーハウスでの飲食店舗開業の大まかな流れを紹介させていただきましたが、飲食店舗としてトレーラーハウスを使用するメリット、デメリットについても述べたいと思います。

<メリット>
・建物で建築して開業する場合に比べ、イニシャルコストが圧倒的に低い。
・移動(移設)が容易にできるので、当初の計画通りの収益が上がらない場合、別の場所へ移転が行いやすい。
・トレーラーハウスの飲食店はまだまだ少ないため、新規性や珍しさが集客につながる可能性がある。

<デメリット>
・床面積に制約があるため店舗内のレイアウトに工夫が必要であったり、多くの客席が設けられない。(デッキ等を活用し気候が良い時期はオープンテラス席にする等の工夫もあり)
・トレーラーハウスには積載重量の制限があるため、厨房設備の重量を考慮する必要があり、設置できる厨房設備によっては提供できるメニューが絞られることがある。

今回はトレーラーハウスで飲食店舗を開業するためのご紹介をしましたが、ポイントとしては、


(1)最初に建築指導課と建築物に該当しないトレーラーハウスの条件を確認する。
(2)保健所へ事前相談する際に、「一般営業施設での営業」か「自動車での営業」かを明確にしたうえで、必要書類等を確認する。
(3)場合によっては、消防署にも事前相談しておく。
(4)飲食業や宿泊業、運送業といった許認可が必要な業種向けの実績が豊富なトレーラーハウス業者を選定する。

東京都下北沢 レストラン店舗としてのトレーラーハウスの例

以上のように、トレーラーハウスで飲食店舗を開業するにはノウハウが必要な部分もあります。
スムーズに開業に辿り着くためには、先ずは飲食業、宿泊業、運送業といった許認可業種向けトレーラーハウスの実績が豊富なトレーラーハウス業者にご相談されることをお勧めします。


当社では、許認可業種の事業者様向けのトレーラーハウスを多数扱わせていただき、豊富な経験を持つスタッフがおりますので、お気軽にご相談ください。

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原案:中村
執筆:吉田
校正:野坂